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Album Title : The Blue (2007)
Artist : Novembre (Italy)
Type : Full-length
Genre : Progressive Death Metal
Notes : This great album is not well known.
Total Time : 67:27
Grade : 「99

1. Anaemia [4:34] *
2. Triesteitaliana [4:54] 
3. Cobalt Of March [6:01] 
4. Bluecracy [6:06] *
5. Architheme [4:51] *
6. Nascence [4:33] 
7. Iridescence [5:12] 
8. Sound Odyssey [5:31] 
9. Cantus Christi [6:46] 
10. Zenith [7:09] *
11. Argentic [5:27] 
12. Deorbit [6:24] *

イタリア出身のプログレッシブデスメタルバンドの8th。神盤です。
個人的に墓まで持っていきたい作品であり、現時点で全作品の中で最も気に入っている作品です。

音楽性は、静動の対比を生かした 憂鬱なプログレッシブデスメタルです。
それゆえ本作は Opeth 系列の作品とされているようですが、類似点はジャンルくらいだろうと思います。 

この作品で まず触れるべきは、ありえないまでの統一感についてでしょう。
本作を聴けば、非常に素晴らしいジャケット・アートワークに示されるような、
暗く深淵で、しかし神秘的で幻想的な「海」に魅了されること請負です。  

さて、私は本作を聴いて、本作の着眼点は、
ある者が海の底に沈む世界を目の当たりにしたときに得た、「官能美」にあるのではないかと感じました。
この「海」は あなたを"冷たい"感触をもって 飲み込むこともあれば、 
時には まさしく母のように優しく、"温かく"抱きしめることもあります。
目撃した美しさには、憂鬱さもあれば、ある種のエクスタシーも含まれるのです。

これら印象をもたらすのは、各曲にこれでもかというほどに盛り込まれた、
暗い海のイメージに合う、あるいはそれを想起させるリフやメロディです。
繊細でありながら、ダイナミックでハイクオリティな音を耳に届けてくれます。

また、各曲とも プログレバンドらしい知的で構築感のあるものとなっており、
展開も練られ、静動の対比もよく考えられています。
そして特にアレンジセンスが素晴らしいです。ここで特に「このバンドは違うな」と感じました。
耳を惹きつける箇所の多さと、その細やかな配慮は驚嘆に値します。 
静パートの美しさとアコギの使い方に関しても同じく秀逸です。
同系列のバンドと比較しても 間違いなく彼らは超一流であると私は確信しています。

以上のように非常に強く心に訴えかけてくる演奏ですが、同じく Vo. も本作の魅力であります。
彼は 気だるくも色気のあるクリーンボイスと、耳を貫くような高音グロウルを見事に使い分けます。
また、感情の表現にも優れている点も好印象です。
まさしく彼にしかできない Vocal Work が披露されています。

憂鬱であり、また低音が響くこともあり、是非 大雨の日に暗い部屋で聴きたいアルバム。
海へと人を還すこの神盤、私は強くおすすめします。
これほどの作品は他にありません。


*Great Tunes
1. Anaemia 
 名曲。聴き手をアルバムの世界へ一瞬で連れ込みます。メロディが非常に魅力的であります。
 聴くと暗い海から手を差し伸べられているかのように感じました。
 Voに関しては、高音グロウルもさることながら、クリーンVoによる甘美な歌声も非常に良いですね。

2. Triesteitaliana
 構成が良い良曲です。特に中盤の激しいギターソロが印象的であり、
 思いがけず急速に海の底へ引きずり込りこまれているような錯覚を起こしました。

3. Cobalt Of March 
 歌メロが大変良い前半と後半の動パート、部分的にみても対比的にみても素晴らしい一曲。
 やはり私は前半が好きです。何とも鬱くしい。

4. Bluecracy
 おそらくの表題曲であり、かつ大変に心揺さぶられる超名曲。
 前半は 静動の対比が素晴らしい見事な曲作りがなされています。
 しかし、この曲ではサビ以降がそれ以上に魅力的です。
 特に、まさしく海底へと運ばれているような感覚を覚える、非常に素晴らしいギターソロ、
 そして 後の展開では Vo の歌唱力が爆発します。
 一連の流れは涙なしでは聴けません。

5. Architheme 
 名曲。④以降、深い海のさらに深層部へと聴き手を導きます。
 しかし逆接的ですが、浮力を受けているような、心地良い浮遊感が何とも素晴らしい。 
 一転して中盤のソロからは、海が聴き手を飲み込んでいるかのような激しさを魅せます。
 再び静のムードへと帰っていくのも にくい演出です。

6. Nascence
 名曲。女性Vo が登場します。彼女がまた上手い。
 その力強い歌声はしっかりと曲にマッチしていて、聴き手をより神秘的な世界へと誘います。
 部分的になりますが、男性Voと女性Voのかけ合いには特に うっとりしてしまいます。 
 しかし目を瞑れば暗い海が浮かんでくるような情景はそのままに、メロディラインも疎かにはいません。

10. Zenith
 超名曲(インスト)。
 深い海を壮大で幻想的に表現しつつ、アルバム屈指のプログレッシブなサウンドを聴けます。
 もはや私から多くを語ることはありません、ご自分で彼らのレベルの高さをお確かめください。

12. Deorbit 
 海の底で 自らの居場所を見つけ、希望の光が差し込んだかのように感じます。
 ゆったりとしていながらも動パートがメインであるのも良く、ギターリフが印象的です。
 本局特に終盤はメロディとともに その魅せ方が感涙もの。 
 まさに偉大な作品の〆に相応しい、偉大な名曲です。


*Listen to GREAT songs
 

 1. Anaemia


 4. Bluecracy


 10. Zenith


 12. Deorbit


Novembre - The Blue のレビューは以上です。
お読みいただきありがとうございました。