_SL500_SS500_
 Album Title : Citadel [2014]
 Artist : Ne Obliviscaris [Australia]
 Genre : Progressive Death/Black Metal
 Type : Full-length
 Total Time : 48:11
 
 1. Painters of The Tempest PartⅠ:
    Wyrmholes [3:08] 
 2. Painters of The Tempest PartⅡ:
    Triptych Lux [16:35]
    MovementⅠ: Creator [0:00-] ★*
    MovementⅡ: Cynosure [7:21-] ★*
    MovementⅢ: Curator [11:03-] ★*
 3. Painters of The Tempest PartⅢ: 
   Reveries from The Stained Glass Womb [3:35] 
 4. Pyrrhic [9:50] 
 5. Devour Me, Colossus PartⅠ: 
   Blackholes [12:36] ★*
 6. Devour Me, Colossus PartⅡ:
   Contortions [2:28] 

 オーストラリアのプログレッシブデス/ブラックメタルバンドの2nd。
 
 Opeth が完全に Prog-death を卒業してしまった今、
 上質な Prog-death が出てきてくれたことが純粋に嬉しい。

 まず、ジャケが非常に美しい。久々に胸を打たれました。
 デスメタル的暴虐性や そびえ立つ"城"のような堂々たる威圧感、
 しかしそこに内包する静寂さ、そして繊細さ、
 作品の有する要素を 的確にかつ耽美的に表した素晴らしい一枚。
 美の基本の一つである、アシンメトリーが含まれているのも好印象です。

 さて作中では全て大曲となっていますが、この点に関して問題は一切ありません。
 単純に音の良さ、構築、展開、耳を惹くアレンジどれをとっても上質です。
 特に展開力は非常にレベルが高いと思います。
 現時点でさえ、ソングライティングの面では伸びきってしまっていると言えるほど。 
 音の要素では、Violin, Bass が最前線に押し出されているのが好印象ですね。
 ともにアクセントはもちろん魅せ場さえ用意されています。
 繰り返しになりますが、このような新進気鋭なバンドが登場してくれて本当に頼もしいですね。

 私自身もこの作品をとっても気に入り、最近ではこればかり聴いていますが、
 聴けば聴くほど確信が強まっていく要素が一つだけあります。

 それはソロ以外の静動パートの曲調が「非常にOpethっぽい」ということ。
 しかし、この要素は「負」とは言えないです。
 というのも、私が"今までのOpeth"で感じた魅力が この作品を通じて耳に流れることで、
 "それ"が失われた今、非常に貴重だと感じるためです。
 彼らっぽい(特に動)パートでニヤリとするどころか、
 上手く自分たちの作風になじませているので、繰り返しになりますが、頼もしいと思えます。
 Violin, Bass が非常に良い仕事をしていると先述しましたが、
 例えば後者は"Death - Individual Thought Patterns"ほどにプレイングが明瞭であり、
 素晴らしいサウンドプロダクションも本作で特筆すべき点の一つだと思えました。

 Vo. について言及します。
 Clean Vo. を Violinist の Tim が, Harsh Vo. を Xenoyr が担当しています。
 Vo. は曲中であまり現れないですが、両者とも大変良いと思います。
 後者は前作よりもかなりハリが出て、迫力が増しました。

 最後になりますが、曲についても特筆しておきたい箇所があります。
 それは②"Tryptych Lux", "Cynosure"から"Curator"の流れ。
 "Cynosure"は文字通り耽美的で、音世界に陶酔させられる素晴らしい静の曲です。
 これに不穏をチラつかせ、そして一気に崩壊させる"Curator"。
 それだけでなく、"Curator"の終盤では Violin 旋律を軸に美の再構築が行われます。
 今まで聴いてきた全ての音楽流れの中で、五本の指に入るほど好きですね、これは。

 「これからの prog-death を築いていくのは彼ら、Ne Obliviscaris である」
 そう思わせる確かな説得力が"Citadel"にはあります。yy
 最高峰の音楽, ぜひお手に。

   Grade: 98
  
 P.S. 
 本編とは関係ありませんが、先日の来日公演は本当に素晴らしかったです。
 Fleshgod Apocalypse 登場のときほどに、会場は熱気を帯びていました。

 すべての音が非常に明瞭であり、威風堂々としたライブサウンドでありました。
 1曲目では大本命の"Blackholes",
 手足を動かすように巧みなプレイを披露した Bassist が印象的でした。
 2曲目の"Pyrrhic"では、小さなサークルピットも出来ていましたが、
 後半の"転換"の際には感動のあまり涙ぐんでしまいました。
 惜しくも3曲目がラストで、"And Plague Flowers The Kaleidscope"でした。
 
 時間的に3曲かなとわかってはいたのですが、やはりあっという間でした。
 次回作の発表の際は、是非とも単独来日を望みます。


*Listen To GREAT songs!

 
 #The Curator

 
 #Blackholes


 以上、 Ne Obliviscaris - Citadel でした。
 お読みいただきありがとうございました。