Havet Hinsides Havet

カテゴリ : Brutal Death Metal

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 Album Title : Agony (2011)
 Artist : Fleshgod Apocalypse (Italy)
 Type : Full-length
 Genre : Symphonic / Brutal Death Metal
 Total Time : 49:46

 1. Temptation [1:47] 
 2. The Hypocrisy [5:31] 
 3. The Imposition [4:58] 
 4. The Deceit [6:03] 
 5. The Violation [4:19] 
 6. The Egoism [6:22] 
 7. The Betrayal [5:31] 
 8. The Forsaking [5:37] 
 9. The Oppression [6:04] 
 10. Agony [3:34]

 イタリア出身のシンフォニック/ブルータルデスメタルバンドの2nd。

 デスメタルの Brutality とシンフォニックメタルの Orchestration の融合作品が
 発表当時にありそうでなかったという"目新しさ"から人を惹きつけた有名な作品です。
 (あったにしても、ここまでヘヴィなのは少なかったのではないでしょうか)

 そんな本作は当初から賛否両論ありました。
 私の意見は以下のとおりですが、まず良い点からいきましょう。

 本作で注目したいのはそれが有する統一感です。

 音源に入る前に、楽曲名称が綺麗に統一されている(①⑩は inst.)ことに目がいきます。
 このような、作品を美しく魅せようという細かい配慮は個人的に好きなので。
 そして いったん音源にふれれば、
 Brutality と Orchestration による音圧の嵐が耳に終始襲いかかります。
 楽曲の流れも意識されていて、勢いにより、作品は案外すんなり聴けます。
 特に①~⑤の連続的な流れは非常に素晴らしい。

 しかし個人的に、本作の魅力というのは以上に挙げたものだけであると感じます。
 すなわち、目新しさと勢いだけです。

 Brutality とは言え、Death Metal 特有の Aggression や Grotesque さはない。
 あくまで、"ヘヴィネスを演出するだけ"の Brutality です。
 具体的には、細やかなギターリフはクラシカルソロ以外に一切なく、
 初めから終わりまで、作中の音は Orchestration か"ズドドド"という音かの二択です。
 つまり、速くて爽快感があるかもしれませんが、
 サウンドはあまりにもストレートで、聴いていて全く面白くありません。
 どの曲も、金太郎飴的とは言いませんが、間違いなく一本調子です。

 一方、やはりバンド側も力を入れているのか、
 Orchestration は各曲を輪郭付けていて、格調高く、格好良いと思います。
 曲が金太郎飴的ではないといったのはここを指します
 先の Brutality との醜美の対比にも成功していることもあってか、
 Symphonic な音が好きな方は、これだけで本作がたまらないのかもしれませんね。

 しかし Orchestration は曲中に常にあるわけではないので、
 曲をトータルで見ると、私にはすごく気に入る曲はなかったです。
 また Orchestration と Brutality の"融合"作品だとするのは首をかしげます。
 先述の通り、本作の Brutality はあくまで Orchestration を引き立てる存在でしかない。

 Vo. のグロウルはイタリアンブルデスらしいスタイル。
 クリーン Vo. は Symphonic Black Metal 等で見られるようなハイトーン。
 好みはともかく、両者とも音に合っているので特に不満はありません。

 以上、結構ボロクソ書きましたが、個人的には微妙というのが私の感想になります。

 私のように、素晴らしい曲展開やギターリフ・アレンジを重視する方にはおすすめできません。
 逆に言えば、これらを重視せず、勢いや音圧、Symphonic 要素が好きだという方には
 この上ない作品になるのでしょう。

 いずれにせよ話題作であるので、ご存じない方は是非。

 Grade : 80


 *Listen to GOOD tunes!

 
  #2 The Imposition

 
  #5 The Violation [Official Music Video]

 
  #7 The Betrayal

 
 Fleshgod Apocalypse - Agony のレビューは以上です。
 お読みいただきありがとうございました。

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 Album Title : Unblessing The Purity [2008]
 Artist : Bloodbath [Sweden]
 Type : EP
 Genre : Brutal/Progressive Death Metal
 Total Time : 15:38

 1. Blasting The Virginborn [3:32] 
 2. Weak Aside [4:14] 
 3. Sick Salvation [3:21] 
 4. Mouth Of Empty Praise [4:31]


 スウェディッシュデスメタルバンドの2008年作EP。MP3ダウンロードで購入。
 初期メンバーの、Opethでお馴染み Mikael Åkerfeldt が復帰して制作された一枚。
 
 彼の復帰による影響の真偽は不明ですが、少なくとも私の耳によれば、
 Mikael Åkerfeldt が生み出してきた音像がこのEPでも聴けます。

 儀式的かつ地下的な不気味さ、バンドロゴの存在感とグロテスクさが相まった作品。
 それら要素をズバッとシンプルに表すジャケは、美しさすら感じます。気に入っています。
 
 本作の全体像は、Opeth - Grand Conjuration [Ghost Reveries] をドス黒くし感じですが、
 Opeth に特徴的な耽美な部分の一切が削ぎ落とされています。

 ブルータリティと統一感はなかなかのもので、
 邪悪なリフやブラスト、atmosphere 等、素晴らしく重音と暗黒に満ちた世界が広がります。

 Åkerfeldt も、ガテラル寄りの低音グロウルがメインで、非常に重苦しい Vocal Work を披露。  
 Opeth とは違った声の出し方なので、意図的なものだと思われます。
  
 私がこのEPで好きなのは、緩急の付け方というよりかは、"急"でのラッシュが好きですね。
 また、①~③が同じ方向性の曲で、かつ暗黒の深部に進んでいく様もお気に入りです。

 しかし④については、①~③とはあまりに違いすぎるうえ、魅力を感じませんでした。
 Åkerfeldt で塗りつぶされている本作で唯一 Bloodbath らしさが聴ける④であるにも関わらず、 
 個人的に「④、Bloodbath の要素が不要」と感じてしまった、という本末転倒な事態が発生。
 本作を"Bloodbath の作品"と言い切っていいものかは不明で、ファンには申し訳ありませんが、
 Åkerfeldt によるデスメタルEPと考えるのが妥当かもしれません。

 Grade : 87

 
 *Listen to GREST tunes!
 
  
  #1 Blasting The Virginborn

  
  #2 Weak Aside

 
  #3 Sick Salvation


 Bloodbath - Unblessing The Purity のレビューは以上です。
 お読みいただきありがとうございました。
 

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 Album Title : Obeisance Rising (2012)
 Artist : Hideous Divinity (Italy)
 Type : Full-length
 Genre : Brutal Death Metal
 Total Time : 48:54

 1. A New Morning [2:49]
 2. Life During Epidemic [4:17] 
 3. The Servant's Speech [5:11] *
 4. Summoning Fists to Heaven [5:41] 
 5. A New Hope of Worms [4:02] 
 6. Cerebral Code of Obeisance [3:41] 
 7. I Deny My Sickness [3:31] 
 8. Bred For Slavery [4:05] 
 9. Laughing At The Ephemeral Race [5:21] 
 10. As Flesh Gospelled Pure Hate [4:07] 
 11. Enclosured [6:09]

 イタリア出身のブルータルデスメタルバンドの1st。 

 Hour Of Penance 系列の典型的なイタリアンブルデス作品です。
 サウンドも Vo. も似ていて、実際彼らのファンにおすすめできます。
 しかし、そのクオリティでは Hour Of Penance に軍配が上がると考えます。

 いえ、クオリティと一言で表すと語弊があります。
 一般的にイタリアンブルデスは高い演奏能力を有していることが多いですが、
 当然のように Hideous Divinity のそれも超人的です。
 そして作曲能力もあり、無理のない、自然な流れの楽曲構築をするようです。

 しかし曲展開が良いとはいえ、
 一曲、さらには作品を通じて大体同じテンションで進んでいきます。
 Hour Of Penance は魅せ場や盛り上がりをしっかり作ってくるので、
 両者が似通った手法のサウンドだけに、逆説的ですが、違いも浮き彫りになります。
 Vo. によるリードも彼らに比べて少ないのも同様です。

 「ブルデスの多くはそのような音楽性なので気にする必要があるだろうか」
 とも思うのも本音ですが。

 さて、本作の話に戻りましょう。

 本作は良盤以上の作品であることを強調しておきます。
 一般的なデスメタルとは一線を画す質なのは間違いありません。

 ギターリフは、一曲中で次々と変化するにも関わらず、印象的なものが多いです。
 イタリアンブルデスの中では、リフはダークです。しかし、格好良い。
 また、全編で音圧の基盤となっているベースがビキビキと響き渡るのは、容易に確認できます。
 そしてイタリアンブルデスでは当たり前になっている"超人的なドラミング"ですが、
 Hideous Divinity にも優秀なドラマーがいるようです。
 イタリアンブルデスらしさ全開の Vo. は、可も不可もなくといった印象です。

 私が特にうるさい「曲展開」ですが、全く問題なく、むしろ優秀で自然な仕上がりです。
 音圧とテクニックによるゴリ押し感はありません。

 正直彼らのようなバンドが出てきてくれて嬉しいです。
 イタリアンブルデスシーンもさらなる盛り上がりを見せることでしょう。

 Hour Of Penance とはまた違った「味」を出すバンドなのでしょう。
 次回作ではそのあたりに特に注目してみたいと思います。

   Grade : 87

 
 *Listen to GREAT songs!

  
  2. Life During Epidemic [Official]

  
  3. The Servant's Speech [Official]


 Hideous Divinity - Obeisance Rising のレビューは以上です。
 お読みいただきありがとうございました。

 [Similar]
 Hour Of Penance 

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 Album Title : The Spiritual Decline (2013)
 Artist : Suicidal Causticity (Italy)
 Type : Full-length
 Genre : Brutal Death Metal
 Total Time : 39:45

 1. A Suicidal Causticity [5:32] *
 2. Electrocuted Pregnancy [3:33]
 3. Orphan Of Any Human Lineaments [3:37]
 4. Incest With The Dead [4:56] 
 5. Pedophagist [4:15]
 6. Excised And Infibulated [3:23] 
 7. Erafication Of tHe Future Progeny [4:15]
 8. Soothe The Unbearable Thoughts [3:32]
 9. Decanting Your Intestine [3:20]
 10. Involutional Dynamics Of The Corporeal Mass [3:12]

 イタリア出身のブルータルデスメタルバンドの1stフル。 

 Fleshgod Apocalypse や Hour of Penance 等、高水準のブルデス勢の台頭により、
 現在 盛り上がりをみせるイタリアンブルデスシーン。
 そこに新たな狼煙を上げようとせんバンド、Suicidal Causticity が登場しました。
 
 本作の第一印象は、ジャケを含むアートワークが若干痛々しいので、
 ゴア/アンダーグラウンドな方向性のバンドなのだと思っていましたが、
 実際の音を聴くと、そうと感じませんでした。

 表題曲①は 近年のイタリアンブルデスシーンの流れが汲まれており、
 モダナイズもされた、非常にクリエイティブな音を聴けます。
 しかしそれ以降は、サウンドにオールドスクールデスの要素が強めとなり、
 結局、全体を見渡せば、その色の濃い作品となっていました。
 
 普段から私は、収録曲の1、2曲ほどしか聴かずにCDの購入に踏み切ることが多いのですが、
 以上の理由から、さすがに本作には驚きました。

 あくまで私は、①のインパクトが凄すぎて、後の曲の印象が何度聞いても薄かったです。
 展開が何度も繰り返されるのは、私の価値観に照らし合わせれば、良いとは思えません。
 また、ジャケが示すようなグロテスクな世界観は持ち合わせてはいませんでした。

 オールドスクールデス的なリフが苦手な私には厳しい作品でありました。
 Vo.がガテラルに近いきつめのグロウルがメインな点と表現力がある点は良いと思いました。

 よって「悪くないけど、印象に残りにくい」というのが最終的な感想です。
 次回作ではどのようなアプローチをしてくるのでしょうか。

  Grade : 79


 *Listen to a GREAT song!

 
  1. A Suicidal Causticity


 Suicidal Causticity - The Spiritual Decline のレビューは以上です。
 お読みいただきありがとうございました。
 

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Album Title : Manic Thoughts Of Perverse Mutilation (2008)
Artist : Gortuary (US)
Type : Full-length
Genre : Brutal Death Metal
Total Time : 32:46
Grade : 「90

1. Mutilation By Double Penetration [4:40] 
2. Skull Fragments [3:52] 
3. Hereditary Retardation [4:03] 
4. Pedophile Manipulation [2:24] 
5. Pool of Excrement [3:22] 
6. Transgender Dismember [4:38] 
7. Splatter Facal Matter [2:22] 
8. Meat Grinder Homicide [2:22] 
9. Wake Up Murder [5:03] *

アメリカ出身のブルータルデスメタルバンドの1stフル。名盤です。
AmazonMP3ダウンロードでの購入です。

凄惨たる gory なシーンを示すジャケは、音を具体化したものであるかのようにマッチしています。
そして そのサウンドは"激重"、異常までの音圧を有し、
殺気や血といったゴア的な生々しさをダイレクトに伝えるかのように、
気を抜けば聴き手を簡単に飲み込んでしまいそうなほどに、
まさしく鼓膜を圧殺します。

作品全体を見渡せば、似たようなリフこそありますが、
個人的には、"曲展開が複雑かつ豊富であり、質も高い"という印象の方が強いです。
それは切り替わる際にも何らかのアクセントが入れられていて、突拍子なものは少ないです。
また、各曲には特徴的な展開や、何より"魅せ場"があるので、区別が付きます。
という具合に、曲には私が好きな要素が備わっているため、本作には とても好感を持てました。
リズム感にも優れているので、ヘドバンもしやすいですからね。

ソロ等に多少のメロディがあるので、「メロディのないブルデスが好き」という向きはご注意ください。
また 音圧により、作品を通しで聴くには ある程度の忍耐力や慣れが必要と思われますが、
以上の理由と同様に、聴いていて楽しいので 私は苦にはなりませんでした。

Vo. は楽器隊におされてか、少しだけ聴き取りにくいです。
しかし彼の声は鬼気迫るものがあるのは確かです。
声を使い分けるタイプではないですが、私は嫌いではありません。 

というわけで、本作は私の好きなブルデスの典型例でありました。
"グロテスクで激重"なブルデスをお探しの方は、本作を是非。


*Listen to GREAT songs!

 
 6. Transgender Dismember


 9. Wake Up Murder


Gortuary - Manic Thoughts Of Perverse Mutilation のレビューは以上です。
お読みいただきありがとうございました!
 

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Album Title : Passages Into Deformity (2013)
Artist : Defeated Sanity (Germany)
Type : Full-length
Genre: Technical/Brutal Death Metal
Total Time : 38:19
Grade : 「94

1. Initiation [1:15] 
2. Naraka [5:07] *
3. Verblendung [4:44] *
4. Lusting For Transcendence [3:45] 
5. The Purging [4:58] 
6. Verses Of Deformity [4:16] 
7. Perspectives [6:49]  
8. Frenzy [2:35] 
9. Martyrium [4:50] 

ドイツ出身のテクニカル/ブルータルデスメタルバンドの4thフル。傑作です。

ジャケットも然ることながら、音自体も非常に凶悪、
オールドスクール的でかつアンダーグラウンドな音をもって 聴き手の脳内をdeformityへと導きます。

サウンドには 近年のシーンの流れがあまり汲まれてはいないですが、
しかし それはクリエイティブであり、テクニカルな演奏が曲を良い方向に傾けています。
というのも、確かに音は殺気立っていて 曲構成や展開、演奏も複雑ではありますが、
疾走するところは疾走している、落とすところはキッチリ落としているといった具合に、
聴いていて 何をやっているかがハッキリとわかります。曲の区別も可能です。
この点からして彼らはなかなかに良いバンドだと感じました

曲がサッパリしている印象はなく、そこにはデスメタル特有の気持ち悪さがあります。
また、アルバム全体を通じて 緩急のバランスが良いです。

以上デスメタルバンドの作品のレビューとしては ありがちなものを書きました。
しかし、私は随分この作品に感動しています。でなければ「傑作」などとは言い切りません。

では何故傑作と言えるのか?
その理由とはずばり、本作ではアングラ感と、曲の構築感/良展開が絡み合っているところにあります。

私が音楽を聴くときに最も重視する後者二つの要素ですが、
Passages Into Deformity のものは上質です。
一つ一つの曲の目指している方向性がかっちりと固まっている、そのような印象を受けました。
言い過ぎかもしれませんが、曲の要素どれもが「あるべくしてある」のだと思えました。

以上のうえで ブルデスかくあるべしといった具合に、
サウンドはドロドロでアンダーグラウンド的であるのです。
これを傑作と呼ばずして何と呼ぶのでしょうか。

本作のようなサウンドを作り上げるには、演奏技術ありきの話ですから、
無論その点では申し分ありません。
特に Bass について、デスメタル作品では Bass が聴こえにくいことが多いですが、
本作では Bass が曲をしっかり支えていることがよくわかりますし、
前へと押し出ている場面も見受けられます。
 
曲の凶悪さを支えているのは演奏陣だけではありません。
展開面でも一翼を担っていることがある、Vo.も特筆すべきでしょう。
常人ではとても受け付けがたい極悪ガテラルをこれまでかというほどに披露、
是非とも次回作でも参加していただきたい秀逸なVo.です。

本作は 2013年発表のデスメタル作品を代表するものに違いありません。
一周が聴き終わり次第、すぐにもう一度周回してしまうほどの名作です。
まだお持ちでないデスメタラーの方は是非。必聴盤です。 


*Listen to GREAT songs


 1. Initiation


 2. Naraka


 3. Verblendung


 6. The Purging


Defeated Sanity - Passages Into Deformity のレビューは以上です。
お読みいただきありがとうございました。
 

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Album Title : Autopsychosis (2013)
Artist : Katalepsy (Russia)
Type : Full-length
Genre : Brutal Death Metal
Total Time : 40:10
Grade : 「93

1. Lurking In The Depth [3:39] *
2. Evidence of Near Death (E.N.D) [2:39] 
3. Body Bags For The Gods [3:00] 
4. Cold Flesh Citadel [3:41] 
5. The Pulse of Somnambulist [4:04] 
6. Unearthy Urge To Supremacy [3:37] 
7. Gore Conspiracy [4:00] 
8. Amongst Phantom Worlds [4:06] 
9. Needles of Hypocrisy (Interlude) [1:59]
10. Knifed Humility [4:23] 
11. Taedium Vitae [5:02] 

ロシア出身のブルータルデスメタルバンドの2nd。名盤です。

彼らは以前まで 真性のスラミングデスをプレイしていたようなので、
もしかすると 本作での変化に ファンはがっかりされたかもしれません。
しかし 特に思い入れがなかった私にとって 本作は非常にクリエイティブで素晴らしい作品に思えます。

この作品の素晴らしい点は とにかく曲がよく練られていることです。
特に曲展開が秀逸であり、曲の各パートを繋ぐ箇所、「間」に何らかの音をはさむことにより、
展開に無理を一切なくし、全てが流麗となっています。
この意味で、彼らはアレンジセンスにも優れていると言えます。

曲の調子は まさしく緩急自在であり、聞き手を飽きさせません。
殺気に満ちたスラムパートから 総力で盛り上げをはかる疾走パートまで幅広く聴かせます。
また、タイトな音質による貢献もありますが、
各曲とも 文字通りに圧がすごく、迫力があり、聴いていて圧倒されるようです。
そして、飛び切りではありませんが、サウンド自体にはアンダーグラウンドさが保たれています。
一方で ギターソロを始めとする 鋭くもメロディックなアプローチや
曲ごとに"キメ"のパートが存在することも、本作の特徴の一つです。

以上の要素が盛り込まれたうえで、全曲とも区別でき、
各曲が非常にクールな仕上がりになっているのですから全く見事。
(余談ながら、音がオールドスクールであるとは思いませんが 流行のシーンに媚びたものでもありません)

Voは非常に上手く、多彩な表現を使い分けます。歪みまくりのガテラルが特に秀逸です。
演奏陣(Guitars×2、Bass、Drums)ともテクニカルで安定したプレイを聴かせます。
ちなみに 他バンドの作品にくらべて、本作ではBassのプレイが比較的よく聞こえます。

整合感のあるデスメタルがお好きな方は是非。
40分間を本当に楽しませてくれるハイクオリティな本作、おすすめです。


*Great Tune
1. Lurking In The Depth
 アルバムの開幕曲にして超名曲。
 複雑かつ豊富な曲展開をもって 3分40秒を疾走しきります。
 特にギターソロからの盛り上がりが白眉であります。


*Listen to GREAT songs


 1. Lurking In The Depth


 2. Evidence of Near Death (E.N.D) [Official Video]


 6. Unearthy Urge To Supremacy


Katalepsy - Autopsychosis のレビューは以上です。
お読みいただきありがとうございました。
 

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